2019.05.01

21世紀型のチーム運営スタイル シェアードマネジメント

現在のチーム運営において、カリスマリーダーシップの求心力でチームを動かす方法は時代に合っていません。
組織の目標実現に向けて、メンバーの主体的協力で動くチームが求められています。その為には、リーダーだけではなく、メンバーが目的や目標が何であるかを理解し、それが自分の問題であると認識している事。そのうえで、自分がやるという自覚が求められます。
 

  • シェアード・マネジメントとは
  • 全社員参画がポイント
  • リーダー役はリーダーだけのものではない
  • メンバー全員がリーダーと同じ気持ちの組織
  • チームは全員で動かすように発想を変えよう

 

シェアード・マネジメントとは

環境が変化し、それに適合させる事は、社会・業種・会社・個人も同じです。成熟社会で仕事が複雑化する中では、組織で動く全社員に現場の業務とチームを動かす仕事の2種類の仕事が求められます。この変化に対応していくスタイルがシェアード・マネジメントです。
チームを動かす為に多様なリーダーシップが求められる中で、1人のリーダーだけでは対応しきれないケースが増えています。一部の人間が兼任で組織を動かすのではなく、必要な役割機能ごとにサブリーダーや中堅社員の方々にJOBリーダーの役割を担当してもらい、組織内の当たり前のレベルを変えて、全社員で組織を動かす事が求められています。
その為に必要な役割機能を推進させる権限をサブリーダーや中堅社員に与え、それぞれの担当機能分野でリーダーとしての役割を担う環境整備が必要。共有化という21世紀の組織運営を代表するキーワードがあるが、「シェアード・マネジメント」は共有型リーダーシップです。

 

組織は小さければ小さい程、そのなかで働く人の責任感・想像力が発揮されます。一人一人が自分の存在価値を組織の中で見出せれば、働くやりがい度や喜び体感度は満たされやすくなります。メンバー全員でチームを動かすスタイルがシェアード・マネジメントなのです。

 

全社員参画がポイント

古くから『リーダーは生まれるものであって、創られるものでない』といわれてきました。これは政治家・武士の話であり、天命としてのリーダーです。
確かに生まれつきリーダー的性格を持っている人はいます。学生時代のクラブ活動のキャプテンや生徒会会長はその一例です。しかし多くの会社のリーダーは大多数が後天的な役割認識をしてのリーダーであります。
もって生まれた性格と後天的な役割認識としての資質は違います。後天的な役割認識とは自分がチームのリーダーとしての自覚があるかどうかです。そしてこの自覚を時代の変化に合わせて対応させる事で成果を出せるようになります。

 

今のチーム運営の環境はリーダー一人ではなく、全社員参画でチームを動かす事がポイント。プレイングマネジャーの特徴は現場の仕事が一番できる人が担当しているケースが多い。しかもチームを動かすマネジメント業務もほとんど一人で実施しているケースが多い。
このようなチームはリーダーとメンバーの差が有りすぎて、リーダーへの依存度が高く、リーダーがこけたら皆こける状態に陥りやすい。

 

リーダー一人があくせくやってもしょうがない。全メンバーが自分の役割に対してあくせく努力するから、結果として目標が達成出来やすい。
参画とは自ら考え、判断し、行動し、責任を取ることである。単に会社に居るだけの「人在」を育ててはいけない。
自ら考え、判断し、行動し、責任を取る「人財」を創る為にも全社員参画型のチーム運営スタイルを構築しないといけない。

 

リーダー役はリーダーだけのものではない

リーダー役はリーダーだけのものではありません。いわゆる「部下」の立場から発揮されるリーダーシップもあります。
そもそもリーダーシップとは、リードするスキルであり、周囲を巻き込み、引っ張っていく事です。メンバーが、自分の担当する業務に関してチームに働きかけ、チーム目標に貢献していく事です。

 

この貢献の仕方に、次の3つがあります。

  • チームリーダーとしてのチームを動かす事への貢献の仕方
  • サブリーダーとしてのチームを動かす事への貢献の仕方
  • チームメンバーとしてのチームを動かす事への貢献の仕方

 

基盤が脆弱なチームの特徴は、ある特定の人にしか出来ない業務が多すぎる事。日常業務、管理業務でもしかり。これは何を意味するのか?それはリーダーシップ、マネジメントが一方向からしか発揮できていない事を意味します。

 

たとえば、会議でよく起こっている事象で以下の事があります。司会進行は部長。部長の携帯電話にお客様から電話がかかる。そうすると会議が中断し、部長が戻るまで会議は始まらない。一方向からしか発揮できていない典型的な例です。

 

メンバー全員がリーダーと同じ気持ちの組織

メンバーシップとは、メンバー全員がリーダーと同じ気持ちの組織を目指す考え方。
組織が出す結果に対して「リーダー」が及ぼす影響力は1~2割といわれ、「チームメンバー」が及ぼす影響力は8~9割との調査があります。つまり、組織改革を始めるのはリーダーですが、完遂させるのはチームメンバーです。
組織・リーダーに対するメンバーの主体的協力が成果を出すポイントになっている時代です。メンバーシップがリーダーやチームメンバーに対して、働き始めると、以下の効果が出ます。
 

  • 指示待ち的な姿勢が、自律的に考えて行動する姿勢に変わる
  • 人間的な好き嫌いに依存することなく、上司と仕事をするようになる
  • 上司の立場で考えることにより、マネジャーとしての予備的訓練になる
  • 一匹狼的な動きが、他メンバーと協働する動きに変わる

 
メンバーが自律的に動くことで、スピード変化に対応し、「自ら考える組織」へと変わるといわれます。数多くの企業を見ていると「業績」は組織メンバーの意識と行動によって決定づけられることがよく分かる。

 

メンバーが、どれだけ自社・自チームの業績についての関心を示し、目標達成の意欲を抱いているか。また1人ひとりが、チームのことをヒトゴトでなく自分の事としてとらえ、よりよい成果を求めて対応の行動を迅速に起こしているか。すべては意識レベルと行動力によって決まります。

 

チームは全員で動かすように発想を変えよう

中小企業のリーダーはマネジメントの初心者からチャレンジしていきます。経営者に『○○君、君も主任だ。明日からリーダーシップ・マネジメントを発揮しなさい』と一方的宣言をされます。

 

しかし、マネジメント方法を知らないから、プレイヤーの延長線上の考え方で、もがきながら実践しています。しかも、チームを動かす事に関してチームメンバーはリーダーに依存して、無関心状態。
プレイングマネジメント体制のお手本は小学校のクラス運営です。学級委員長がいて、副委員長が中心となり、黒板消し係、給食当番、保健委員、飼育係、放送委員等がいてクラス全員が役割を担って、全員でクラスを動かしていく姿がプレイングマネジメントスタイルの理想の姿です。

 

多くの会社が勘違いしているのは、役職者でないと『リーダーシップ・マネジメントをやってはイケナイ』と勝手に決め付けている事です。

 

チームにとってリーダーシップ・マネジメントの目的が達成されるなら、誰がやってもよいのではないでしょうか?しかも、チームリーダーは『プレイングマネジャーの兼任主義でマネジャー業務100%の人』は誰もいません。

 

ならば、最初から発想を変え、プレイングマネジャーだけがチームを動かすのではなく、全員でチームを動かすプレイングマネジメント体制の考え方が自然だと思います

 

つまり、チーム内のチームリーダー・中堅社員・一般社員の経験・レベルに応じたリーダーシップ・マネジメントの役割をそれぞれに持たせる方法がチームとしては、目標が達成しやすくなります。何故なら、全員がチームを動かす為に必要なリーダーシップ・マネジメントの内容を知る事により、日常からそれを意識して仕事を行うようになり、チームとしてレベルがアップするからです。

 

中小企業専門経営コンサルタント
小池 浩二 氏

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