2019.11.01

ウクレレ少年とのひととき。

ぼんやりと、テーブルの上に横たわっている、ウクレレ、を眺めながらこの原稿を書いています。

欲しかったんです、ウクレレ。で、とある筋から手に入れた、と。

 

ウクレレなんてすぐにソコソコ弾けるようになるさ、だってオレ、ギター弾けるしさ、しかも12弦ギターだって弾けちゃうんだぜ、4本弦のウクレレちゃんなんて、ちょっと真面目に練習すればきっと楽勝さ、と、生まれつきのお調子者丸出しで練習し始めたのです。で・・・・・全然弾けるようにならない。

まず、フォークギターに慣れ切っている僕の手は、ウクレレの小ささと軽さに戸惑うんですね。何と言うか、初めて生まれたての赤ちゃんを抱いた時のようなね。

こうした身近な弦楽器を弾けるようになるための基本は、まず、機械に頼らずに、音叉と自分の耳と感覚でチューニングができるようになること、というポリシーがあるのですが、ネック(左手でコードを押さえる棒状の部分)を握ると、それこそ生まれたての赤ちゃんの手首を握っているカンジで、弱々しいような、切ないような、ビミョーな感覚。

 

で、先日、某所で、ちょっとだけ障害のある小学生の男の子と出会う機会があって、たまたまそこにウクレレがあった、と。そんでもって、その男の子がウクレレを習っている、と。で、当然ながら弾いてみて、とお願いしてみたのです。すると、「森のくまさん」をなんと弾き語りで演奏してくれました。歌付き。

そそりゃもう、その場で教えを乞いました。「じゃ、キタゾノさん弾いてみて」僕「はい!」とたどたどしく弾いてみたのですが「その手首の角度じゃちゃんと押さえられません」とか「指をもっとこうしなきゃ」とか鋭いご指摘を頂き何ともいろいろな意味で感動したんですね。

 

藤間 久子『Slowly』

ギターが弾ける、と言ってもギターにも様々な種類があって、音楽のジャンルによって奏法も全然違う。僕みたいにあまりモノを考えずに適当にそれっぽく弦をかきならして楽しいなー、などと言っている者に、ギター弾けますっつうんならフラメンコ弾いてみろ、弦6本なんだからできるだろと注文されても絶対にできません。なのに何となくカジュアルな印象のあるウクレレをなめてかかった相変わらずケーハクな僕です。

鍵盤楽器もそうですね。ワタシ3歳からピアノ習ってます~、と言ったって、きっとオルガンは全然違うだろうしね。

 

当然楽器だけではなく、あらゆる世界であらゆる事が細やかに専門性をもっていますね。

料理の世界も「庖丁を使う」という共通語があるだけでジャンルによって考え方も技法も全然違う。カメラマンです、と言ったって「カメラを使う」という共通語があるだけで様々な分野があるだろうし弁護士ですとか医者ですとか、物凄い数の専門分野があるだろうし、それこそ会社員です、とか、公務員ですとか自己紹介の時に簡単に言ったりするけど、その専門性の数は気が遠くなるほどの、星の数ほどの枝分かれがあるでしょう。

 

で、人がやっている専門分野の事を聞くのがとても好きなたちなので、会話しているうちに何となくインタビューっぽい空気になることがままあります。

 

先ほどのウクレレ少年ですが、小学生という大きな本業がありつつウクレレが大好きと。「ウクレレ、お教室に通っているの?」、「いいえ違います、居酒屋さんみたいなところでウクレレのサークルがあって、そこで大人の人たちとお菓子を食べたりジュースを飲んだりしながらウクレレを教えてもらうの」と淡々と誠実に話してくれました。居酒屋で飲み食いしながらウクレレを習う小学生と、その子を取り巻く大人たちの暖かな視線とそのシチュエーションを想像して、なんだか、しみじみと楽しくなりました。

 

あ、ウクレレ、絶対に年内にはソコソコ弾けるように頑張ります。そして、その少年に褒めてもらいたいです。

 

エッセイスト 北園 修

Photo:藤間 久子『Slowly』

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