醤油やケチャップといったシンプルで基本的な最低限の調味料、冷たいお茶、缶ビールが1缶。長ネギが1本と、毎日欠かせない納豆とお豆腐、パスタなどの乾麺類。
僕のひとり暮らしの冷蔵庫に収納されているのは、概ねそんなところです。あ、冷凍庫の中には大量の氷も。時には冷凍食品なども冷蔵庫仲間に加わったりしますけど。
男のひとり暮らしにしては、ちょっと大きすぎる冷蔵庫の中のレギュラーメンバーはそのようなメンツだけなので、本当にスカスカ、というカンジです。
基本的にコメとメンとタマゴ(あ、僕、タマゴは冷蔵庫に入れない主義)、基本調味料があれば飢え死にはしないというスタンスなので特に困ることはありません。
そんなことで栄養が偏ったりしないか、野菜を摂らにゃいかんよ、と思われそうですが、野菜炒め用にカットされた野菜やサラダがコンビニで手に入りますので、それを買って来れば充分、で、絶対に2日で使い切るので、冷蔵庫での滞在期間は短い、と。
他の食材もそう、使い切れる分しか買わないので、冷蔵庫の中は常に過疎化しています。
茄子やピーマンやキューリといった夏野菜が大好きですが、そういうのも買って来たら速攻で消費するようにしています。
料理は嫌いな方ではないものの、いかんせん自分のために自分で作るというだけなので、適当に切って適当に炒めたり茹でたりして、適当に味付けすりゃ、晩酌のおつまみにもなるし、ご飯のおかずにもなるし、ちょっとアレンジすりゃ麺類とも折り合いがつくしといった、シンプルスカスカ冷蔵庫とタッグを組んだ、ルーズな脱力系の食生活。
とは言え、時々、冷蔵庫を開けてギョッとする時があります。
見慣れないものが冷蔵庫の中にいる。
そう、酒場からの帰り道、何となく買っちゃった食材。
きっと、酔っぱらった僕は突然それが食べたくなって思わず買ったものの、帰宅したとたん、食べるのがめんどくさくなって、冷蔵庫に入れたまま忘れちゃった、というパターンですね。
先日何となく冷蔵庫を開けたら、唐突に「ちくわ」と目が合いました。なぜここに「ちくわ」が。
ちくわ、時々食べたくなる、ちくわ。きっと、酔った僕はちくわを食べたくなったんでしょうね。
自分で買ってきたのにも関わらず、ちくわとの嬉しい再会。「ちくわぶ」の世渡りは許せない、といったことは何度か書いてきましたけれど(皆さん憶えていないでしょう)、ちくわは大好きなので、差別化するために竹輪と漢字で書き始めます(?)。
皆さんに聞きたい。最近、意識して、竹輪食べましたか?
竹輪といえば真っ先に思い浮かぶのがおでんだと思いますが、中々の潜在能力を秘めている竹輪。
茄子と並んで、とにかく油との相性が抜群にいい。
居酒屋メニューで御馴染の、竹輪の磯辺揚げ、なんて、もう、竹輪の人格が変わったんじゃないかと思うくらいの変身ぶり、しかもメニューの中では低価格帯で謙虚にしてる、あんなにおいしいのにね。
あの、かわいい穴にキューリやチーズなどを挿入してもシンプルにおいしい、マヨとも合うしね。甘辛くこってり煮つければ箸休めにも、お弁当のおかずにもグー。
僕が一番自分で作るのは、竹輪を斜めに切ってバターしょうゆ味で炒める「竹輪バター」。ずっと昔、地方の居酒屋さんのメニューをパクりました。お気に入り。
ま、竹輪はともかく、これから夏。食あたりにご注意を。なんで書いているうちに竹輪のハナシになったんだろ、いつもすみません。
エッセイスト 北園 修
Photo:藤間 久子『Slowly』