2019.04.01

時代の名前。

いつもと少し違う気持ちで書き出している。

このページにエッセイらしきものを書かせていただいて、もう、25年になるけれど、なんだか、自分的に、特別な号になる気がする、300回記念だし。

 

これを書いているのはお雛様の日の夜です。

そして、この原稿を皆様が目にするのは4月1日。

新元号が発表される日とかぶります。

新元号が何時に発表されるのかは知りませんけど、このエッセイを読んだ後に新元号を知る人もいるでしょうし、知った後に、この稿を読まれる人もいるでしょう。

皆さんにとっては、しょーもない感傷だと思われて当然ですが、僕にとっては不思議な感覚なんですね。

毎月、25年、思い付きでだらだらとムラだらけの連載を続ける中で、今回は新しい時代の名前が決まる日と、掲載日が同じ日。

おそらく今後、こんな日は来ないと思う。

 

この稿を書いている時点では、テレビの情報番組などで、しきりと新元号の予測などをするシーンが放送されています。国語学者とか歴史学者とか、人工頭脳による、とか、なんというか楽しそうに予測してる。

この字と、この字を組み合わせるとこんな意味ができていいのではないか?でもその名前はある地方の地名にあるだとか、今まで歴史上使われたことがあるのでNGだとか、書類に生年月日を書く時に○をつける元号のアルファベットとダブるとマズイ、とか、画数が多いのはダメ、とか、そんなワケでワタシの予想は当たると思います、とか、楽しそう。

 

次に生まれてくる子どもの名前をみんなで想像し合う、そんなカンジかな。

かくいう僕も、やっぱり自分なりに考えてみたりしちゃう。

 

藤間 久子『Slowly』

僕はずっとコピーライターという仕事をしていますが、いろんな広告文章を書く中で、イチバンやっかいで難しくて面倒くさいのは、ネーミング、という仕事です。商品名、ブランド名、施設名などの名付け親になる時のプレッシャー、なぜその名前を付けたのかという理論的な裏付け、その他もろもろの根拠とその名前の持つ社会への説得力とか、あーメンドクサ、と、頭の中が大騒ぎになるワケです。でも、だからこそ、やりがいもあってプライドを持てる仕事でもあるのですが、それだけにネーミングを依頼される機会ってそうそうあるものではありません。

逆に、僕、過去に一度だけ、横浜市の大きな施設の一般公募のネーミングの審査員をしたという経験があるのです。それこそ審査員のメンバーは地元政治家、国語学者、地元有力者、行政の実力者といったエライ人達ばかりでしたが、なぜか僕もコピーライターということでその末席に加わっていたんですね。

何万通のアイデアの中からまずは数百点に絞り込み、さらに数十点に絞り込み、そして数点まで絞って、そこから、審査員たちの議論が始まる、と。ただしその先には商標権などの壁が待ってる、と、自分で作るのも大変だけど、選ぶのも同じくらい大変だな、と。

 

ま、僕のしょぼい経験なんかどうでもいいのですが、「時代の名前を創る」って、政治が絡んだりといった、我々には想像もできない苦労があるのでしょうが、そこに携わる人達にとっては、きっと一生の大仕事になるのでしょうね。

昭和という「コトバ」が平成という「コトバ」に変わった日の風景を僕は克明に覚えているのですが、口慣れない、耳慣れない、ヘイセイ、という音を、よく分からんがステキな年号、と感じていました。

昭和、と別れるのもちょっと不思議だったけど、平成、と別れるのもちょっと切ないカンジ。

明治大正昭和、と三時代生きてきた祖父や祖母をすごいなーと思っていましたが、今度は僕たちが三時代を生きることになりますね。

さて、この号が出る今日、どんな新元号が発表されるのでしょう、楽しみ。

 

エッセイスト 北園 修

Photo:藤間 久子『Slowly』

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